枕飯の意味とは


 枕飯とは、山盛りにしたごはんを生前の故人の茶わんに盛って箸を立てて挿したものです。そのルーツは一膳飯(いちぜんめし)にあるとされ、この世に別れを告げてあの世へと旅立つ死者への決別のお膳であり、二膳や三膳はない一膳限りということで、二度と戻らない相手との最後のお別れの作法として葬儀で古くから使われている習わしです。

 また、冥土へ出かける弁当として白米を山盛りにしたとか、普段はぜい沢品だった白米をお供えすることで、故人がよみがえることを期待したなど諸説あります。

 箸の立て方は、生前に個人が使っていたものを二本垂直に立てる、二本の箸が一本に見えるようにする、一本だけ立てる、一本は垂直で一本は横に挿して十字にするなど、さまざまな方法があります。一本だけ立てるのは、あの世とこの世を繋ぐ架け橋(箸)という意味があります。

 十字にするのは、立っている方の箸が火で、横になっている方の箸が水の意味で、火と水でお浄めをするという意味があるといいます。

 葬儀に関する習わしは、宗教や宗派、地域によって異なる点が多くありますが、大切なことはそこに込められた本来の意味を理解することです。気持ちよく供養ができるように、予めその由来や意味を心得ておくと良いでしょう。